私は、大学受験で世界史を選択しました。一浪して合格した大学は、不幸にも中退になりました。その後、医学部に入学するのに2年かかったので、都合4年間、世界史を勉強しました。教科書に記載された内容は、ローマ(イタリア)は、紀元前500年頃に共和国として成立した。キリストが生まれたころに、カエサルの養子になったアウグストゥスが初代の皇帝として即位し、版図をひろげ、パックスロマーナをうみだした。395年に東西に分裂し、西ローマ帝国は、ゲルマン民族の大移動によって崩壊した。いっぽう東ローマ帝国は、帝都ビザンチンをコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)と改名し、1453年まで継承された。つまり、ローマ帝国は、ずっとつづいたと思いこまされていました。
退職後にプルタルコスを読んで、実態が、ギリシア帝国ともいえることに気がついて愕然としました。ギリシアについては、古代にポリスが存在し、ソクラテスやプラトンが出現した。世界帝国、アケメネス朝ペルシアとの戦いの勝って、民主主義をまもった、などが記載されていました。教科書では、ギリシアは、ここで歴史から姿をけしてしまいます。
プルタルコスは、帝政ローマがもっとも勢いがあった紀元100年頃に活躍したギリシア人でした。神官でもあり、エジプトへも旅行した博識の教養人として知られています。著述を読むと、ローマ帝国だったもかかわらず、堂々とギリシア語を話しています。彼は、被征服民という立場ではなかったことが分かります。「エジプト神イシスとオシリスの伝説」(岩波文庫)には、さまざまなことが網羅的に書かれています。イシスとオシリスについては、多くがこの本から引用されると聞いていたので繰りかえし読みました。4回目になって、わずか数行の記述だと分かりました。何しろたくさんの話題がつらなり、いろんな事項が隠されています。
イシスとオシリスは、作品番号11.「ソフィアに会った日」で舞台設定を借用しました。さらに英雄伝の第1章、テセウス伝は、作品番号12.「アリアドネ」の主人公、テセウスを描く第1級文書として取りあつかいました。10回以上読み直しましたが、そのたびに新しい事実を発見できる奥深い著述でした。テセウスの息子、ヒィポリュトスをうんだアンティオペが率いるアマゾン軍が、アテナイにまで攻めてきます。そのとき、彼はフォボス(恐怖の神)に祈りを捧げて出陣します。なんて、生々しく書かれているのでしょうか?。この下りを発見するのに、10回も読まねばなりませんでした。

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