エプスタイン( Jeffrey Edward Epstein)は、1953年1月20日、ニューヨークで生まれました。ユダヤ人の両親をもつ、資産家とされています。彼の業務内容や資産規模については、多くの不透明な部分が存在します。ニューヨークの豪華な邸宅をはじめ、総額600億円をこえる不動産やプライベート・ジェット機、広大な牧場、さらに事件の舞台になったカリブ海の無人島を保有していたとされます。とはいえ、生涯が虚飾に満ち、過剰な演出があったのは、間違いないでしょう。2000年代の初頭から、メディア関係に触手を伸ばしていたことが判明しています。2015年、イスラエルの新聞「ハアレツ」は、「スタートアップ」という企業を通じて、イスラエルの防衛産業と関連していることを報じています。元イスラエル首相や防衛大臣、イスラエル国防軍の特殊部隊などと関係を持っていたと考えられています。じっさい2008年4月には、イスラエルの軍事基地を訪問しています。
エプスタインは、2006年、リゾート地として名高いフロリダ州パームビーチで、児童買春をした罪で起訴されました。2008年、禁固3年の判決が言い渡されますが、司法取引が行われ、収監から13ヵ月で出所しています。服役期間中も、便宜が図られたことが知られています。
この事件では、彼の恋人とされるギレーヌ・マクスウェルが仲介役を担っていたといわれています。
2016年、カリフォルニア州の女性が、民事訴訟を起こしました。当時13歳だった彼女は、1994年にマンハッタンのエプスタイン邸で行われたパーティーで、エプスタインから性的暴行を受けたというものでした。訴訟は、ドナルド・トランプとの関連も示唆されて耳目を集めましたが、却下されています。
2019年7月、2002年から2005年までの期間、マンハッタン、パームビーチの自宅で、14歳をふくむ、少女数十名に対する性的虐待の疑いで逮捕されました。家宅捜索により、性的売買の証拠と多量の全裸写真が発見されました。一部は、未成年女性だったことが確認されました。そのほか、被害者にかんする大量の情報や、多額の現金、宝石などのほかに、エプスタインの偽造パスポートもみつかりました。
エプスタインは、2019年8月10日、勾留されていたニューヨーク州の矯正施設内で死亡しました。独居房内で自殺したと発表されましたが、遺族や弁護団は異を唱えました。鑑定を依頼された法医学マイケル・バーデンは、他殺を示す証拠があると発表しています。いっぽう、2023年6月、司法省は刑務所職員たちが「過失、不正⾏為、職務遂⾏上の失敗」を繰り返したことによって「⾃殺する機会」を与えたと結論し、他殺説を否定しています。
2019年8月23日、フランス・パリの検察は、エプスタインが関与する国際的な児童ポルノネットワークの存在を調査しています。
エプスタインと同居していた恋人のギレーヌ・マクスウェルは、児童の性的暴行などに加担した疑いで逮捕状が出されました。2020年7月に逮捕され、2022年6月、ニューヨーク連邦地裁で禁固20年の刑が言い渡されています。
2025年7月、米FBI連邦捜査局は「エプスタイン・ファイル」を発表しました。そこでは、1)違法行為を裏付ける「顧客リスト」は確認されなかった。2)著名人を恐喝していたとする証拠は、確認されなかった。3)そのほかの捜査の根拠となり得る証拠も認められなかった。と発表しました。
2025年7月、「ニューヨーク・タイムズ」、「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、トランプの名前がエプスタインの関連資料に含まれているという情報をつたえました。フロリダ州連邦判事は、エプスタインに対する連邦捜査に関する大陪審の証言記録の公開を求める要請を却下しました。
同年7月24日、米下院監視委員会はエプスタインに関連する資料の開示を司法省に召喚状をもとめると発表しました。さらに共犯者のギレーヌ・マクスウェルに関する調査として、ビル・クリントン元大統領、ヒラリー・クリントン元国務長官、元FBI長官だったジェームズ・コミー、ロバート・モラー、さらに、元司法長官らにも召喚状が発行されました。
イギリス王室のアンドルー王子は、エプスタイン邸で若い女性と撮影した写真がいくつも残されています。王子は、英王室の公務から退くことになりました。
エプスタインがどうやって資産をつくったのかは、判明していません。有罪が確定後、欧米の政財界有力者・王族らに広い人脈を持っていたため、売春斡旋が噂され、大きなスキャンダルに発展しました。また公的機関の要職者らも、彼との交友関係を問題視され、辞任するケースも相次います。
(参考文献:ウィキペディア「ジェフリー・エプスタイン」)
司法省が公開した一部の資料が黒塗りでしめられ、多くは非公開のままで経過しています。また下部組織の連邦捜査局(FBI)が行った「顧客リストは存在しない」という報告は、過去の報道経緯と大きく乖離しています。さらに大陪審記録の公開を拒否したことなど、対応に透明性を欠いているため、議会は、司法省に対して不信感を強めています。政治状況と絡んで、事件は沈静化していません。
