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ダエーナー

 ダエーナー(Daena)は、ゾロアスター教において意識を擬人化したものと考えられている存在で、美しい処女の姿をしている。

 ウィキペディアに記載には、誤りがたくさんあります。生成AIのつくる文書とおなじで、間違っていることを前提に考えないと正誤が不明になります。

 ゾロアスターは、人類で初めて「自己」を発見した者と考えられます。それ以前にみつけた人がいたとしても、文献的に検索できません。彼は、世界を光と闇の二元論で説明しました。間違いなく、光は意識、闇は無意識を指しています。彼の時代には、こうした現代の心理学用語がなかったのです。伊藤義教が訳した筑摩書房、世界古典文学全集3「アヴェスター」を読むと、ゾロアスター教の創始者たちが、たいへん豊かな想像力をもっていたことが分かります。

 ふと、森の匂いがした。奥ぶかい、木々の息づかいだった。それが、橋のむこうから流れてきていた。その香りが、やわらかい風にのっていた。橋のむこうの扉がゆっくりとひらいて、さらにいい匂いがただよってくる。オレンジ色をした夕日がもれて、あけはなたれた戸から大量の西日があふれでていた。

 そこから、暖かい南風とともに、芳しい緑の香りがはこばれてくる。ゆるやかな流れにのって、魂に吹きよせてくる。その大気を呼吸している。いい匂いにむかって歩いている。

 橋にながい影がさし、それを目で追うと乙女がいた。

 白く輝くスカートをはいた、すらりとした肢体がみえる。

 大きく胸のはだけた銀色に煌めくシャツを着て、真っ白なほそい紐を腰に巻いている。露わな肩、金のブレスレットが光る白い腕、張り切った乳房がみえる。高貴なうまれの、美しい乙女がいた。

 これは、作品番号07.「ダエーナー」最終部の一節です。

 主人公は、家電量販店で副店長をしています。万引き犯をみつけ、話をきき出します。それは、自分がおかれている状況とそっくりでした。彼が放免した男は、家電量販店の屋上から飛び降り自殺します。どこまでも相似な関係のなかで、自分が何ものだか考えはじめます。おりしも、社長が、自宅の橋状になった廊下から転落死します。社長の令嬢は、若くて美貌でした。彼女は、主人公が20歳のときに描いた絵と、そっくりな絵画を描いていました。彼女の義理の兄は、悪魔だったのです。主人公は、副社長の命をもって社長令嬢の救出にむかい、橋状の廊下でナイフによって刺されます。そして、死ぬ瞬間、彼女こそが自分だったことに気がつくのです。

 ダエーナーは、自己を指しています。自己とは、たくさんの自分から形づくられる、中核部分です。ユングなら、生まれたときから嫉妬にさらされる者と定義するでしょう。ダエーナーが、現世の仕事を終えた自分を待っていてくれるのは、チンワント橋です。最後の審判のモデルになり、イスラム教でも取りいれられました。

 ゾロアスター教の天使たちは、世界の豊かさを象徴しています。

 こうしたことを、3000年以上もまえに考えついた人がいたのです。

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