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ゴールド、13

 このコラムでは、金本位制から脱却した現在の管理通貨制度について考えたいと思います。

 通貨管理制度は、通貨の発行量を通貨当局が調節することで、物価の安定、経済成長、雇用の改善、国際収支のなどを図る制度です。たとえば、日本国の通貨発行権をもつ日本銀行は、負債として計上される「法定通貨」の発行量を、資産として計上される国債などと調整しています。「法定通貨」は、日銀のバランスシート上、負債に位置づけられます。このばあい、資産は国債が該当します。したがって通貨は、担保明確化資産としての国債に裏づけられているので国債本位制ともよべます。

 管理通貨制度では、通貨当局は、金や銀などの保有量とは無関係に通貨供給量を増減させることができます。そのため、第二次世界大戦後の情報革命を背景に、電子記録としての「預金通貨」が急速に膨張しました。

「預金通貨」とは銀行の貸し出し業務によって生まれる通貨で、 バランスシート上、銀行の負債になります。 したがって、日銀の負債となる「法定通貨」とは違っています。

 銀行から貸し出されたお金は、担保明確化資産ばかりではなく、 担保希薄化資産、担保不詳化資産にも、借り手の意向で振り分けられます。 このため「預金通貨」は、個別の銀行の判断に応じて大きく膨張しました。

 銀行準備率は、「預金通貨」を発生させるときに最低限の裏づけとなる「法定通貨」です。現代の日本では1%程度ときわめてゆるく、さらに日銀は必要におうじて当座預金を供給するため、融資総額の上限にはなりません。

 国家は国債を発行し、中央銀行が購入することで間接的に「法定通貨」の供給量を決定できます。また、銀行制度を通じて「預金通貨」の発生を制度的に許容しています。金を貨幣価値の裏づけとする金本位制では、兌換紙幣の発行量によって通貨総量が決められていました。

 紙幣は、金の預かり証でした。

 管理通貨制度では、通貨総量は、中央銀行の金融政策と銀行の融資総額で決まります。通貨の価値は、政府の信用に依存しています。国債発行総額が増えると国家財政の悪化が懸念され、国家信用が低下します。国債投資家が国債の売りに回ると金利は上昇し、通貨が売られる事態がおこります。こうして、通貨の価値は外部によって決定され、行政府がコントロールできない状況になります。 

 行政府は、金本位制時、金総量によって決定されていた通貨の価値を、金融政策によって独自に操作できる立場になりました。しかしながら、一度増えてしまった通貨供給量を減らすことは、ほぼ不可能になっています。通貨供給量を縮小すると銀行貸出が急減し、経済全体が信用収縮に落ち入るためです。

 銀行準備率は、理論上「預金通貨」の融資総額を直接的に制約できます。しかし、発動は経済全体に過度の衝撃をあたえるため、現代の中央銀行ではほとんど用いられません。代わりに、金利政策や自己資本規制などの間接的手段をもちいて融資を制限しますが、通貨供給量の膨張をとめることはできません。

 その結果、中央銀行は、インフレ抑制よりも、通貨供給量の急激な減少による信用収縮の回避を優先せざるを得なくなっています。これは、円安をふくむ通貨安競争が起こる大きな原因です。

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