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弥勒菩薩

 よく知られているように、弥勒菩薩は、仏陀入滅後56億7000万年後に世界に出現して多くの人びとを救済する契約をむすんでいる未来仏です。正式名は、マイトレーヤ( MAITREYE)です。「 MAITRI」の語源は、慈しみを指します。「MIROKU」は、この音写だといわれます。

 ミトラ教(MITHRA)またはミトラス教(MITHRAISM)は、紀元1~4世紀のローマ帝国治下で隆盛した、太陽神ミトラスを主神とする宗教です。古代インド、イランに共通するミトラ神への信仰が、ヘレニズム時代の文化交流を経て地中海世界に入って形を変えたとものと考えられています。祭儀では、牡牛を屠ったといわれ、あきらかにゾロアスター教との関連が示唆されています。

 ミトラ(MITHRA)は、もともと契約の神で、ゾロアスター教では、英雄神、太陽神とされます。主神、アフラ・マズタとも関係しています。とうぜん大日如来との関連も示唆されます。インド、クシャーナ朝では、バクトリア語ミイロ(MIIRO)とよばれ、この語形が弥勒の語源になったともいわれます。

 メシア思想とは、救世主の出現を信じる教義です。世界宗教の基礎をつくったゾロアスター教の「サオシュヤント」にはじまります。ヒンドゥー教では「カルキ」。ユダヤ教では「マシヤフ」。キリスト教では「キリスト」。イスラム教では「マフディー」。そして、仏教では「マイトレーヤ」になります。

 アヴェスター語、 Miθra(ミスラ/ミトラ)は、 語源的に 契約、誓約を意味します。宇宙秩序を回復する契約、といってもいいかもしれません。

 日本につたわってきた弥勒菩薩は、とくに持物がないですが、インドでは水瓶をもっています。これは、おそらく聖別するための「油」が入っていたと想像されます。キリスト教における契約の刻印(アノインティング)を意味する「塗油」に通じています。

 もし水瓶を携えているなら、ゾロアスター教の水と豊穣の女神、アナーヒターとの関連をつよく示唆しています。聖観音菩薩が、持物として水瓶を携えていることにも符合します。つまり、女性神格をふくんでいることになります。

 弥勒菩薩は、仏陀本人ともいわれ、男性神格とされています。菩薩は変化することをふくめ、性別を特定できない可能性もあります。ゾロアスター教は、大天使にはっきり女性神格を認めています。仏教は、男尊女卑の時代を反映して変性男子という思想を生み、本質的に女性か男性かを決定しにくい構造になっています。

 こうした歴史的経緯はさておき、仏教の弥勒菩薩の位置はきわめて謎めいています。

 仏教では、世界は、無色界、色界、欲界、の三界から構成されます。

 欲界には、六天が存在します。第一天、四天王。第二天、帝釈天。第三天、夜魔天。第四天、兜率天。第五天、化楽天。第六天、他化自在天です。

 この最上層の第六天を、魔王、波旬(マーラ)がしきっています。彼は、ヒンドゥー教の主宰者、バラモンです。つまり、弥勒菩薩が修行しているとされる兜率天は、波旬の完全な管理下にあります。ほんらいの救済者は、現世支配者の奥深くに捕らわれているのです。これは、救済者が捕らわれているというグノースシス思想の先駆的な構図です。

 映画「マトリックス」では、救世主ネロは、AIに捕らわれています。モービシャスが、救世主を救い出す場面からはじまります。そう考えるなら、NERO(ネロ)と、MIROKU(ミロク)は、音韻的に類似しています。中心の母音構造に、「RO」がおかれています。子音、N、Mは、非常に類似した鼻音です。偶然以上に近似しているとも考えられます。MERO、NIROKU、と変化させれば、一層はっきりとします。

 作品番号34.「弥勒をみつけた日」では、仏教思想とグノーシス思想との類縁関係を追求しています。

 広隆寺の半跏思惟像は、女性的に描かれています。

「弥勒をみつけた日」では、弥勒は、美しい女性の姿をしています。

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